月刊人事労務

ホワイトカラークライシスと「三位一体の労働市場改革」

◆ホワイトカラーが失職する時代の到来

これまでの労働移動といえば、いわゆる「ブルーカラー」から「ホワイトカラー」への移行が一般的でした。しかし今、起きようとしているのはその逆、あるいは「ホワイトカラーの中での大淘汰」です。専門家の間では、AIの浸透によりデスクワークの8割が消滅するとの予測もあります。

◆「三位一体の労働市場改革」

AI技術の進化により、事務職や管理職といった「ホワイトカラー」の業務が自動化される懸念(ホワイトカラー・クライシス)に対し、日本政府は現在、「三位一体の労働市場改革」という大きな旗印のもとで、労働者がスムーズに成長産業へ移動できるような環境整備を急ピッチで進めています。
政府の狙いは、単なる失業対策ではありません。AIによって事務作業から解放されたホワイトカラーが、「AIを管理する側」や「現場の専門技能とテクノロジーを掛け合わせた高年収ブルーカラー」へと移行することを支援する構造になっています。具体的には、以下の3つの柱を中心に施策が展開されています。これを支えるために、個人が成長分野へ移るための「リスキリング(学び直し)」への直接支援や、学び直し中の生活保障(失業給付の早期支給など)を強化しているのが現状です。

1. リスキリングによる能力向上支援

AIを使いこなす人材への転換を促すためにIT資格やDX関連の専門講座を受講した際、受講費用の最大70%〜80%の教育訓練給付金を個人に直接支給する制度を強化しています。

2. ジョブ型雇用の導入と「見える化」

職務(ジョブ)に対して給与を払う「ジョブ型」への移行を推奨し、職務定義の標準化で AIによって仕事の内容が変化する中、どのようなスキルがどの仕事に必要なのかを明確にすることで、転職や再就職をしやすくする「スキルの見える化」を進めています。

3. 成長分野へのシフト

AIに代替されにくい「現場の専門技能」や「創造的な仕事」への移動を促す施策です。これまでのホワイトカラーが行っていた「データの集計や定型的なレポート作成」はAIに任せ、人間は「そのデータからどのような戦略を立て、周囲を説得して実行に移すか」という、より上流の、人間ならではの領域にシフトすることを推奨しています。

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